以下、2020年6月29日(月)両丹日日新聞より抜粋。
京都ルネス病院 府内でいち早く導入
福知山市末広町の京都ルネス病院(医療法人福冨士会、冨士原正人理事長・院長)はこのほど、下肢静脈瘤の医療用接着剤(グルー)治療を始めた。昨年12月から保険適用された治療法で、従来の手術よりも、痛みと体への負担が少ない。同病院によると、グルー治療は府内でいち早く取り入れたという。すでに複数人が手術を受け、術後の経過は順調という。
日本静脈学会など6学会で構成する「下肢静脈瘤血管内治療実施管理委員会」の実施認定を今年6月に受けた。
下肢静脈瘤は、足の血管(静脈)が瘤のように膨らむ病気。足先まで送られた血液は通常、重力に逆らって上昇し、心臓に戻っていくが、静脈の中にある逆流を防ぐ弁が壊れると、血液が逆流してしまい静脈瘤が引き起こされる。病気が進行すると、足のむくみや重苦しさ、こむら返り、痛みなどの症状が出ることもあるが、進行はとても緩やかで、重篤な状態にまで進行しても、直接的に命に関わることはないという。
40歳以上の女性に多く、日本の患者数は1千万人以上と推定。出産経験のある女性のうち、半数が発症するというデータが示すように身近な病気とされるが、認知は進んでいない。
従来の治療法は、弾性ストッキングを履き、血液がたまるのを予防するとともに、心臓に血液を戻す手伝いをして症状を和らげる保存的治療のほか、静脈の中に細い手術用のワイヤを入れ、ワイヤごと静脈を抜き去る「ストリッピング手術」▽細い管(カテーテル)を静脈に入れ、内側から熱を加えて焼くことで、静脈をふさぐ「血管内焼灼術治療」の2つの手術治療が主流。
痛みと体への負担が少なく同病院で開始したのが、保険診療が可能になったグルー治療。血管内にカテーテルで医療用接着剤を注入し、血管をふさぐ。従来の治療に比べて熱を発しないため、局部麻酔の数が少なくて済み、痛みと体への負担も少ないのが特長という。
京都ルネス病院では、心臓血管外科専門医で、下肢静脈瘤血管内焼灼術実施医・指導医の資格を持つ鈴木晴郎医師(44)が、「グルー治療は有用で、これから選択肢の一つになる」と確信。すぐに医療器具のトレーニングを受けるなどして導入した。
鈴木医師は「グルー治療を押し付けるのではなく、それぞれの治療法の良い点、悪い点などをしっかり説明し、病状に応じた提案をしたうえで、患者さんとともに話し合って決めていきます。まずは気軽に相談を」としている。
【写真説明】グルー治療について説明する鈴木医師
下肢静脈瘤のグルー治療について(両丹日日新聞提供)















